第7回 新株予約権

有限会社小平食品は、冷凍食品の加工業者で、

2代目社長の小平良介の手腕により急成長、現在約200名の従業員を抱えている。

従業員のうち、正社員は32名で他は、契約社員、パート、アルバイトである。

正社員と契約社員らとの折り合いがあまり良くなく、この点は、

良介や小平食品の工場長である青梅隆三の常日頃の悩みである。

本日は、小平食品社長室において、取引銀行の府中銀行の行員である

立川伸吾と話していたが、そのときに、社長室の電話がなった。

従業員の士気向上~小平食品社長室において~

良介「もしもし…。うん?何だからよく分からないから、今からそっちに行く。
立川君、悪いねえ。ちょっと、工場の方でトラブルがあったみたいだから、そっちに行かなきゃいけなくなったよ。」


立川「大変ですね。故障かなんかですか?」


良介「うん。まあ、故障と言えばそんなもんだ。機械の故障じゃないけどね。」


立川「機械じゃない…?。」


良介「それじゃ。例の融資の件、宜しくね。」

~小平食品の工場長室において~

良介「いったい、どうしたんだ!」


青梅「社長、わざわざ、足を運んで頂いて恐縮です。誰も取締役の方がつかまらなかったもので。」


良介「ちょっと、説明してくれ。」


青梅「お電話でもちょっと話したかと思うんですが、工場主任の柴崎茂というのが契約社員の仙川秀治に卵をぶつけたんです。それで、仙川が柴崎に殴りかかって、みんなで止めに入って…。」


良介「それで、その2人は?」


青梅「はい。仙川は家に帰しました。柴崎は従業員控え室で、なんでも目のあたりを殴られたとかで横になっています。」


良介「病院は?」


青梅「柴崎本人がいいというものですから、行かせてないんですが。」


良介「なんで、卵をぶつけたりなんかしたんだ?」


青梅「柴崎の話によりますと、除菌の手順がいい加減で、何度も注意したのに言うことを聞かなかったからとか…。」


良介「柴崎君は、すぐ、そういう行動に出る人なのか?」


青梅「いえ、すごく真面目で、以前はものすごく温厚な奴でした。」


良介「「以前は」とは?」


青梅「最近は、ちょっと、イライラするようになっていて…。」


良介「何かあったのか?」


青梅「私が言うのも何ですが…。」


良介「何だ?何か思いあたることがあるならハッキリ言いなさい。」


青梅「実はですね…。」

小平食品の取締役会において

良介「…とまあ、こんなわけで、要するに、例の品質強化プログラムを導入したひずみが出ているみたいなんです。町田専務、どう思われますか。」


町田「かと言って、除菌なんて適当でいいですよ、というわけにはいかんでしょうな。」


崇「ちょっといいですか?」


良介「何だ。」


崇「はっきり言ってしまえば、最近締め付けがきついんですよ。」


良介「締め付けとは何だ!」


崇「そうじゃないですか。「何とか強化」とか「何とかマニュアル」とか、息苦しい話ばかりで、そのくせ、待遇は全然変わってないんですから。だから現場がギスギスするんですよ。そう思いませんか、清瀬常務。」


清瀬「崇さん、少し言葉を選んでお話しなさい。だが、たしかに、精神的にきつい仕事に耐えてもらうためには、何か士気向上策が必要かもしれませんな。」

ストックオプションとは

良介「しかし、清瀬常務もご存じのとおり、当社の現状では、賃上げや賞与アップという形で待遇向上を図るのは難しいですよ。」


町田「株式会社ならストックオプションという手もあるんだがね。」


崇「何ですか?その「ストックオプション」とは。」


町田「新株予約権と言って、それを持っている者が会社に対して、株式を交付するよう要求できる権利だよ。聞いたことないかい?」


崇「ないですね。しかし、そんな権利と従業員の士気向上にどんな関係があるのですか。」


町田「例えば、従業員に新株予約権を渡すとするだろう。そして、この権利は20年間行使することが可能で、権利行使、つまり、株式を受け取るに当たって1株あたり5万円を支払うと合意する。20年間一生懸命働いた結果、会社の業績がアップして、1株の時価が10倍になって50万円になったとするとどうなる?」


崇「5万円を支払って、株を手に入れて、それからその株を売っちゃえば、45万円儲かりますね。なるほど、頑張って会社を設けさせれば自分も儲かるって仕組みなんですね。」


清瀬「たしかに、それならば、少しくらい苦しくても商品の品質管理強化が会社の業績アップにつながるということで従業員の士気が上がるかも知れませんな。」


良介「今度、顧問弁護士のところに行く用事があるときに聞いておきます。」

特例有限会社と新株予約権~法律事務所の相談室において~

三鷹「えっ!小平食品がストックオプションを発行するの?」


良介「なんだか、取締役会で盛り上がってしまったんだ。
それで、うちの会社も発行できるのか?」


三鷹「条文を見ても、特例有限会社が新株予約権の発行を認めないという規定は見当たらないから、できるということになる。
有限会社法では、新株予約権の発行は予定されていなかったんだが、これも会社法のおかげだね。」

新株予約権の発行手続

良介「どうすれば、新株予約権を発行することができるんだ?」


三鷹「株主総会で募集事項を決議するんだよ。もっとも、株主総会決議で募集事項の決定を取締役に委任してもいいけどね。」


良介「どっちにしろ、株主総会を開かないとダメなわけだな。」


三鷹「既存株主に新株予約権を割り当てる場合であって、取締役の決定によって定めることができる旨の定款がある場合には、取締役の決議で構わないけど、お前の会社の場合には従業員に割り当てるというわけだから、やはり株主総会は必要だな。」

新株予約権の行使手続

良介「行使価格はやはり低めに設定しておかないとダメだろうな。」


三鷹「そりゃあ、低い方が従業員は喜ぶだろうね。いくら会社法で新株予約権行使にかかる現物出資が可能となったからと言って、パソコンや事務用品でもいいですよっていうのもなあ。」

新株予約権の消滅

良介 「それから、このストックオプションとやらで気になっているのは、従業員である間はいいんだけど、会社を辞めちゃった場合はどうなるんだ。」

 

三鷹 「それは、行使条件で定めておくんだよ。”権利行使時に従業員であることを要する”っていうような具合にね。」

 

良介 「つまり、権利行使できない新株予約権がいつまでも残るのか?」

 

三鷹 「いや残らない。権利者が新株予約権を行使できなくなった場合には、当該新株予約権は消滅するんだ。」

 

良介 「じゃあ、権利行使期間が経過した場合にも消滅するんだな。」

 

三鷹 「その通り。」

新株予約権の取得

良介「しかし、それでは、せっかくそれまで働いてもらった従業員に気の毒だな。会社が買い取ることはできないのか?」


三鷹「できるさ。新株予約権に取得条項を付けておくんだ。
取得条項というのは「10年経過した場合には、当会社が新株予約権を取得する」といった条件のことだよ。そして、取得の対価を定めておけば、会社が買い取るのと同じことになる。」

自己新株予約権・消却

良介「取得した新株予約権はどうなるんだ?」


三鷹「「自己新株予約権」として会社が持っていてもいいし、消却してもいいんだ。
良介 よおし、分かった。これで従業員が変われば最高だな。俺も盛り上がってきたぞ!」

 

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